1. Const データ型

Const データ型 

Datatype-Generic Programming の第5章は 「Iterator パターンの本質」(The Essence of the Iterator pattern) と呼ばれていて、 Gibbons さんと Oliveira さんが 2006年に書いた論文と同じ題名だ。 現在公開されているバージョンの The Essence of the Iterator Pattern は 2009年のものだ。DGP の流れをくんだものとしてこの論文を読むと、その文脈が分かるようになると思う。

この論文の冒頭に出てくる例を Java に翻訳してみた。

public static <E> int loop(Collection<E> coll) {
  int n = 0;
  for (E elem: coll) {
    n = n + 1;
    doSomething(elem);
  }
  return n;
}

EIP:

この loop メソッドや、これに似た反復には、 要素の投射 (mapping)、 そして同時にそれらの要素から得られる何かの累積 (accumulating) という2つの側面があって、両方とも捕捉する必要があることを強調したい。

論文の前半は関数型の反復とアプリカティブ・スタイルに関するリビューとなっている。 アプリカティブ・ファンクターに関しては、3種類のアプリカティブがあるらしい:

  1. Monadic applicative functors
  2. Naperian applicative functors
  3. Monoidal applicative functors

全てのモナドがアプリカティブであることは何回か話した。 Naperian applicative functor は固定された形のデータ構造を zip するものだ。

アプリカティブファンクターは McBride さんと Paterson さんによって idiom と名付けられたため、本人たちがアプリカティブ・ファンクターに改名したにもかかわらず Gibbons さんは論文中で idiomaticapplicative の両方の用語を同じ意味で使っている。

Const データ型を用いた monoidal applicative functors 

非モナドな、2つ目の種類のアプリカティブ・ファンクターとして モノイダルな対象を持つ定数ファンクターが挙げられる。

全ての Monoid からアプリカティブ・ファンクターを導出することができる。 pure には empty を使って、ap には |+| を使う。 Const データ型は Cats でも Const と呼ばれている:

/**
 * [[Const]] is a phantom type, it does not contain a value of its second type parameter `B`
 * [[Const]] can be seen as a type level version of `Function.const[A, B]: A => B => A`
 */
final case class Const[A, B](getConst: A) {
  /**
   * changes the type of the second type parameter
   */
  def retag[C]: Const[A, C] =
    this.asInstanceOf[Const[A, C]]

  ....
}

上のコードの型パラメータ A は値を表すが、 BFunctor の型合わせのみに使われる phantom 型だ。

import cats._, cats.data._, cats.syntax.all._

Const(1) map { (_: String) + "!" }
// res0: Const[Int, String] = Const(getConst = 1)

A が Semigroup を形成するとき、Apply を導き出すことができ、 AMonoid を形成するとき、Applicative を導き出すことができる。

このアプリカティブ・ファンクター間での計算は何らかの結果を累積する。 整数と加算のモノイドの場合は、カウントや和となる…

Const(2).retag[String => String] ap Const(1).retag[String]
// res1: Const[Int, String] = Const(getConst = 3)